GILT CITYを見て、知人が「有名店なのに安くしてすごいね」「歌舞伎が値引きってすごいね」と話すのを聞いて、なるほどそんな風に思うのか、という出来事がありました。
当然、販売元には販売元のメリットがあるので、正規料金より安価に見えることに対して、私にはそういう感覚がなく、その方との間にギャップを感じたので、ギャップの部分について書いてみます。
もちろん正規料金より安価で販売されること自体がすごい!と思わせるイベントや店舗のサービスを提供できることはすごいです。でも、販売する側にもメリットがあるので、そこについて、少し。
商品の種類
基本的に気にいるとリピート購入が期待される商品が販売されています。
いやいやエステや美容院はそうかもしれないけど、その演目はいつもやってないよ、と言われるでしょうけど、商品だけでなく、販売元の商品全般に対してリピートが発生するものです。
歌舞伎も今のところ、特定の劇場で扱われるものだけです。GILTと劇場には、一度でも足を運べば、一定数は再び劇場に来てくれる、という想定があります。劇場にとっては、それは歌舞伎の演目に限らない。
(でも歌舞伎が人気だってわかれば、業界全体や他の劇場から、うちのも扱ってよ、ということはあるかもしれない。そうなるとGILTさんは嬉しいですよね)
最初に支払うお金だけでなく、購入されたお客様が、今後いくら使ってくれるかまで含めた価格設定になっているはずです。顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)を考えての価格ですね。
化粧品がわかりやすいと思います。試供品だって無料じゃない。それを配ることで今後、配った方の一部から、ある程度の収入を見込んでいます。
顧客生涯価値については以下を参照。
LTV(ライフタイムバリュー)とCPA|リスティング広告運用代行カルテットコミュニケーションズ
LTVを正しく理解して、永続的にビジネスを成長させよう (1/5):MarkeZine(マーケジン)
サイトとしてリピートが大きく期待しにくく、商品数やブランドが多いと、一回の買い物で利益が出るような価格設定がされていることがほとんどかと思います。ファッションはそうです。頻繁に買うものではない/リアルな店舗や他のサイトでも購入する/もともと原価率が低く値下げしても利益が出るようになっている、などの要因があります。
お客様の種類
GILT CITYと販売元がターゲットとして見込んでいるのは、どんな人でしょう。
きっと体験したことがない、過去に利用したけど高くて頻繁には利用できない、など、普段利用している以外のお客様でしょう。(普段利用しているお客様は、別に一回の値下げだけは魅力的に見えないかもしれないので、他で報いたりするでしょう)
高級店であれば、ちょっと仕事帰りに、というわけにもいかない。お得意さんの紹介で、といっても広がらないかもしれないし、お得意さんに連れてきてよ、と頻繁に頼めない。有名店だからといって、将来お得意さんになる候補の新規のお客様に困っていないか、といえば、そんなことはないわけです。
観劇の場合、今は観たことない方が、一度観てしまうと、継続して観に来てくれる人たちかもしれない。
(年代や収入や好みが同じ層に括られても、演劇を見る人、見ない人は分かれる。もし同じ層にアプローチすれば、観劇者数が大きく伸びるかもしれない!)
もしGILT CITYに出すことで、見込み客を連れてきてくれるなら、乗っかってみようと思う店舗はあると思います。
ブランド価値
ただ、販売元にメリットがあるからといって何でもGILT CITYで売れるわけではありません。LTVを考えれば無料でもいいかもしれませんが、そういうわけにもいきません。例えば、その一つに価格設定や扱う商品やサービスが、ブランドイメージを毀損しないか?という点です。
- いつも利用しているお客様のサービスがただ安くなるだけだと、既存のお客様もいい気はしない
- お高くとまってるけど、どうせ安くするんでしょと思われると困る
(セールという言葉を嫌がるブランドも実際ある。でも、スペシャルプライスならOKとか)
ブランドイメージを毀損しなければ、値下げして販売することはあります。
- 新規客を捕まえたい
- 既存のお客様に感謝を届けたい
- やっぱり背に腹は変えられぬ
本当にいろんな理由で。
提案、販売の魅せ方がお上手なんだと思います。
LTVを考える商品を扱うシステム(システム屋さん向け)
もし、いま、商品数が多いサイトを運営していて、LTV(ライフタイムバリュー)を考えるような売り方をするなら、こんな機能が必要になりそうです。
- キャンペーンなんかで発生するゼロ円購入(zozoさんがやってましたね)
→価格は1円以上なんてプログラムになってたりしますよね。 - 購入したもの以外も合わせて出荷する(ノベルティ品)
→条件にあった商品を明細に追加する(紙には載せる/載せない) - 定期購入
→何かをトリガーに受注おこす - 組み合わせ購入で割引
もし今、機能が実装されていないなら、社内の誰かが言い出す前に考えておきましょう。
最後に
きっと正当な理由があって安くしていると思うので、いいな、と思ったら買って試してみるといいかと思います。私も普段、生活の中では利用しないサービスをよく購入してます。楽しいです。