SHIROBAKO、2016年の年始に全24話まとめて放送されてましたね。
SHIROBAKOは、アニメが好きな人なら誰もが少しだけ想像したことがあるアニメ制作というものの内実を見せつつ、仕事を通じての人の成長、仕事仲間、というより同志と同じ目標に向かう(同じ作品に携わる)という素晴らしい経験を視聴者として体験できるアニメ作品です。
最後まで見ると・・グッときます。
ここで話には一切触れないので、興味ある人は見てください。
ただ、これ見て仕事に関して身につまされた方も多かったようです。。
各部門や各担当からのクレーム、前工程の仕事が終わらず、後ろの工程が圧縮される。。。
「そこは断るべきだったと思うけどねー、はいはい言うだけが進行じゃないよ」 「尻拭いをするのはこっちなんだよ」 「テレビ放映は、一話こけたら、ドミノだおしにバタバタと倒れるから」 「監督とデスクに言われちゃ、断れないよ・・」
もう第一話から、別の意味で涙が出そうです。
システム開発にみる制作進行
システム開発でも、業務として明記されてないだけで面倒なことはあるわけです。
制作進行みたいに、ロールにしてもいいんじゃないか?という思いが、書くきっかけです。
こんな記事(↓)もあるんですが、ほんとうにいい製品やサービスを作ろうとして、会社内、部内、チーム内でできることをやって、「何もできない人」になっちゃってる場合もあります。
SEとは「何もできない人」のこと
アニメの制作進行の仕事は、工程管理・推進、リソース確保。
こちらの本を見ると、
他にもざっとこんな感じで列挙されています。
防犯/作業道具の管理(文具類)/作業スペース管理(机、棚) 室温/設備の管理(PC、電話、コピー機)/交番・病院の確認/交通手段の確認/食事できる場所の確認/人間関係づくり /利害関係の把握
環境の管理については、一般的なシステム開発のPMOより広そうです。
(ただ、一般的に制作進行が、これらすべて業務分掌として明示されたものかは知りません)
ここでもキモになるのは、人間関係、利害関係の把握や調整といったことのようです。
システム開発でも、スクラムマスターや上述のPM/PMOなんかも同じことやってますよね?
スクラムマスターのだいたいの役割。障害を取り除く、問題を解消する/争いや言い合いを収める/チームのママ役になる/チームのデータを報告する/ファシリテーター役をする/必要になったら手を動かして手伝う/組織全体を教育する/組織的変化を主導する #scrumgemba
— yoh nakamura (@yohhatu) 2016年3月5日
ということで、PMO、スクラムマスター、制作進行の役割を列に、タスクや責任範囲(プロダクトに対する責任、ルールの遵守、成果物の管理)を分割表にまとめようかと思いましたが・・
アニメ制作では成果物が明確で、納期がコントロール不可だったり、
スクラムマスターは、スクラムというフレームワークの中での役割だし、スクラムをやってなくても、チーム内でスクラムマスター的な動き方をする人はいるし、システム開発にしても、プロジェクトごとに責任範囲も変わるので、だいぶ強引かな、ということで止めました。
各役割について気になる方は、以下をご覧ください。
PMO (Project Management Office) について | 日本PMO協会
スクラム道.06「スクラムマスター」 for FullBoost
プロジェクトマネージャとスクラムマスタ | InfoQ
開発マネージャーとスクラムマスター | Atlassian
SHIROBAKOというお話
物語としては、大事なときに大事な人が絶妙なタイミングで登場します。次の登場シーンまでに、しっかりキャラ付けされてて、スッと入ってくる。
(制作進行の先輩の矢野さん、ちゃぶだい返しする茶沢さん)
仕事のスタンス、人生における仕事の位置付けが、いろんな登場人物の視点で描かれています。
システム開発にも共通していることは、各担当、各工程の特徴や、システム全体理解があったほうがいいこと。例えば、アニメ制作で、前工程が遅れて、ダビング時に色がついていないと、つける音も変わってくる(土かコンクリートで歩く音も違う)各工程で間に合わせる必須の作業は何か?各工程の理解が、作品に影響します。
全話通じて、気になるセリフが多いです。
プログラムを書いていないのにシステム開発に携わる人に。
矢野さんの専門同期の磯川さん 「絵も描けないのに、アニメがつくりたいって思って制作になって、最初は夢中で目の前の仕事をこなしてたけど、 クリエイターの操作や情熱に、柄にもなく感動しちゃって彼らの才能を正当に評価してほしいって思うようになってさ、 そのために何かできないかって考えるようになって、で、自分にできるのは、クリエイターに場所をつくることかなーって」
今まで経験のない職種を任されるときに。
杉江さん 「僕は、才能っていうのは、何よりまずチャンスをつかむ握力と、失敗から学べる冷静さだと思う」 「絵のうまい下手はその次だ。僕は僕より絵がうまい人間が、わずかな自意識過剰や、つまらない遠慮のせいで チャンスを取りこぼしてきたのを何度もみた。惜しいと思うよ、今だにね。」
過去をうらやんでも仕方が無いよ。
社長 「カット袋は重いし、絵の具を乾かす時間は必要だし大事に扱わないと傷ができて、 撮影でハレーションになっちゃうし、面倒だったなーセルってそれに比べたらほんと進歩したよ」 宮森 「ほんとに進歩してるんでしょうか?」 「今、本当におもしろいアニメがつくれてるんでしょうか? 私の頭の中にあるのは、おもしろいものをつくるというよりも目の前のトラブルのことばっかり。 いい作品をつくるためのアイデアなんて何一つなくて。」 「じっくりと名作を作れてたあの頃のほうが・・今よりもよかったんじゃないでしょうか?」 社長 「チャッキーの頃だって、全然じっくりつくれてなかったよ。いつもトラブルばかりで時間もなかった」
(そして、昔話の回想の後、もう一度、社長からの問いに対して・・)
宮森 「あたし、楽しいです。あの頃になんか負けませんから。 あたし、あの頃を超えるアニメを絶対につくってみせますから」
いい作品です。
「みてください!」
(アニメが違う)