こちら(↓)のイベントに参加してきました。
2015年 8月8日(土) 13:00〜17:00、8月9日(日) 13:00〜17:00
みんなのための『教える技術』
「みんなのための教える技術」紹介ビデオ
初日の感想・・・は、だいぶよかったです!
特にワークは大盛り上がり。
(ワークに熱中しすぎて、疲れてしまうのはまずかったかもですね・・)
参加の動機
教えるという場面は、学校の先生だけではなく、会社でのOJT担当、部下への指示、同僚への伝達含め、一般の人にもよくある状況です。でも、先生でもない限り、うまく教えるということについて、あまり考えないし、学習しようとするまでには至らない。
私も教えるという意識はありませんが、コミュニティーでファシリテートしたり、講師をすることもあります。(講師のときは、もちろん少しは意識します)
いい教え方ができているか、大上段に上からということでなく、理解してもらいたい内容を伝えて、聞き手の今後に活きるように貢献できているか、大きく不安はあるところ。
今回、たまたまFacebookのタイムラインで見かけて、勢いで申し込みました。
参加者
IT系は少なかったです。学校の先生はもちろん、医薬系、研修コーチなど、30名くらい。
今セミナーで特徴的だったこと
全体は、 4時間ですが、60分ごとに休憩を挟みます。
60分の内訳は、30分を1ユニットにして、
- レクチャー(15分)
- ワーク(10分)
- シェア(5分)
60分で2ユニットという構成。
あと休憩後には、休憩中に参加者が書いた質問すべてに答えるというフィードバック付き。参加者が迷走することを防ぐ目的で実施されていました。集中して聞いていられる時間が15分程度ということですが、15分の間も、注意を引く/質問を投げるといった集中させる工夫がありました。
向後先生は、この構成をマイクロフォーマットと名付けていて「いい形だと思ったら、他でも使って」とおっしゃられていたので、今後、試してみたいと感じています。
(もちろん、講師側には、講義部分を15分にする、という作業は発生しますね)
私は、アクティブラーニングやら、反転授業に関する知識は今のところないので、どの辺に共通項があるか知りませんが、きっとその辺と共通する方法論でもあるでしょう。
集中力に欠けやすい私ですが、ワークの課題の選択や質もよかったせいか、確かに今回、両日の4時間は集中が途切れるということはありませんでした。
内容
※運営のキャリア・クエストの方からも、向後先生からも好きに書いていいよ、というお話をいただきましたが、ワークの内容まで書くのも面倒だし、せっかくのセミナーなので、その辺は是非、参加して体験ください。
今回のセミナーの講演部分の内容は、以下の書籍を参考にするといいと思います。
ワークで体感したり、他の参加者の視点で考えたり、質問できることなどメリットはあるので、書籍を読んだ人にも、参加をオススメします。
初日の内容は、教えるときに意識する技能の3つの種類ついての説明と、それを実感するためのワークです。
- 運動技能を教える
(体:言語機能が介在しないこと。自転車乗る、タイピング、ダンス) - 認知技能を教える
(頭:知識。いわゆるこれまでの学校で教えてること) - 態度技能を教える
(心:生活態度や礼儀)
これを区別するだけでも、教え方に差が出るとのこと。
態度技能がピンとこないかもしれませんが、これはゴミを拾うという例がありました。
ゴミを拾う動作というのは、誰でもできるし(体)、知ってもいる(知識)、でも、誰もいないところで拾うかどうかは、個人が選択している。この選択に関わる部分ですね。
運動技能を教える
- スモールスタート
- 即時フィードバック
動物に芸を仕込むものと同じようなものだそうです。手順を分解して、やさしいものから練習する。そしてそれができたら、それを強化する。(動物の芸でいうと、「よしよし」や餌をあげる行為が、強化にあたります)
自転車に乗る例がありましたが、ハンドル操作とペダルを踏むことを一緒にやるのは難しい。であれば、最初はペダルを外す。そしてそれができたら強化する(褒める、というか、うまくいったことを認識させる)。Aという動作ができるようになる→Bという動作ができるようになる→ABという組合せができるようになる、といった感じです。
家庭でも職場でも「前、教えたことがなんでできないのか!」なんてことがあるかと思いますが、学習の過程で、新たなことができるようになるとき、最初に覚えたことが一時的にできなくなることはあるということ。ある動作を覚えて、次の動作を練習しようとすると、最初に覚えた動作ができなくなる。
よくありますよね? そういうときは、もう一度やり直せばいいだけなので、ここで怒っても意味がないとのことでした。(マイナスのフィードバック(弱化)は、嫌な感情を残すだけ)
講義の後、「動物」「トレーナー」「観客」と役割分担して、正解を「動物」が知らない動作を「トレーナー」が教えるという、シェイピングゲームなるものをやりました。
その他
- 強化し過ぎはよくない(「よし」を連発する)
- 一度間違えて覚えた動作は中々消えない(「消去」は緩やかなカーブで減少する)
といったポイントもありました。
認知技能を教える(1)
- バグルールの修正
- 転移の促進
新しい知識というのは、教科書などから、案外一人でも学べるものなので、先生の仕事は、新しいことを教えることではなく、間違ったことを修正していくというのが、印象的でした。
その人が思い込んでいる「間違った理屈」を見つけて訂正してあげる、ということです。
小学生の計算問題だと、繰り下がりのある引き算や分数の割り算なんかで、思い込みがありそうですね。その思い込みの理屈を修正することが、バグルールの修正にあたります。
そして、個別の問題だけだと、一般的なルールに昇華されない。
なので、練習問題をたくさんやって、それが一般的にも通用すると理解させる必要があります。これが転移となります。
(具体的な数字になれたら、それが英字の変数に変わっても解けるようになりますよね)
転移の説明では、Wason問題とアルコール問題の例がありました。
http://sojin.kyoto-math.jp/wason.html
あと、これは、間違う理屈が個人個人で異なるから、個別指導でないとできないという点も重要ですね。
認知技能を教える(2)
- スキーマ(考え方の枠組み)の獲得
- 熟達化(スキーマを自動的に起動する)
スキーマを習得させる→熟達化というのは、うまく説明できないので、例を挙げます。
例えば、将棋の棋士は、一瞬見ただけで盤面を記憶することができますが、それは、実際のゲームの流れの中の一つの盤面であって、デタラメに駒が並んでいてもダメだそうです。
長く職場にいて、新しい人が入ってくると「何て仕事ができないんだ!」「こんなことまで教えないといけないの?」という場面がありますが、実は、長くいる人には、スキーマがあるために、できている可能性があります。
手順を知っているだけでは、おそらく十分でない。
どうもこれは、言語化された状態で記憶されているものではなさそう、何らかのイメージとして格納されているそうです。これは運動技能にも言えるそうで、プロゴルファーも、クラブを変えると急に当たらなくなる。これは、これまで使っていたクラブでスキーマが形成されているため、だと考えられます。
ワークでは、ハノイの塔のパズルを実施しました。テーブルごとに成功させるために、覚えている手順やルールが異なっていておもしろかったです。競争すると盛り上がりますしね。
態度技能を教える
先に書いた、ゴミを拾う例にあったように、誰も見ていないところでゴミを拾うという判断、やるかどうかを決めるところを態度といっています。
態度については、強く命令することなどで、抵抗が生まれます。
抵抗が生まれないようにすること、抵抗を取り除くことが必要です。
やってはいけない(抵抗が生まれる)こととして
- 議論する「宿題をやるということがどんな大切か説明してあげる」
- 専門家になる「宿題はいやなものなんだよ。それは私も知っている」
- 責める「宿題をやらなくてどんな結果になっても知りません」
- レッテルを貼る「なんでも反抗するのね」
- 急ぐ「すぐにやりなさい!すぐに!」
- 高飛車になる「これがあなたにとって一番いいことなのですよ」
抵抗がなくなるように、以下のことをします。
- 共感する(ウンウンと聞く)
- 矛盾を拡大する(それをやるとどうなるだろうね?)
- 抵抗に巻き込まれつつ進む(相手を組みふすことをせず、組み伏されない)
- 自己効力感をサポートする(相手が変わる能力があることを信じる)
常に命令口調で、伝えることばかりしてても、自発的な態度には結びつかず、自立には至りません。つまり、部下の自立がないと、上司の仕事がいつまでもなくならないことになります。
初日の感想
今回は、事前の予習があまりできなかったので、知らない知識が多く入ってきて、より盛り沢山に感じたのかもしれませんが、大満足の初日でした。