nohdomi's blog

EC、ファッションのITサービス、TOCfEによる問題解決(だったはず)

倉庫業務とTOC

2月に転職しました。

ファッションECサイトなんですが、
基本、メーカーやショップから直接送るわけではないので、もちろん在庫もあります。


ということは、会社の事業の中に倉庫業務があるわけです。


そして入社早々ですが、倉庫見学をさせてもらいました!

以前、3年ほど、製造業の生産管理のシステムを担当していたので、倉庫や工場は、非常にテンションが上がります!(あんまりわかんない感覚ですかね?)


そこで見学が決まって、真っ先に思い出したのが、「ザ・ゴール」です!
言わずと知れたゴールドラット博士の最初のベストセラー。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

「ザ・ゴール」は、工場が舞台ですが、いくつもある工程が連なって、最終的に出荷されるという意味では、倉庫業務は製造工場とまったく同じです。
(「製造」「組立て」はないだけで、「検品」「梱包」などは製造も倉庫でもある)



見学するにあたり、「ザ・ゴール」から視点をもらおうと思い、久々に読み返しました。
話の基本は、ボトルネックを解消するという視点です。

製造では、注文を受けてから出荷するまでの時間が短ければいいわけです。
(正しくは、一つの製品が早く出きたからと言って、他が納期に間に合わないといけないわけですが。)

ボトルネックとは何かというと、
 (出荷までの時間を短くしようとした場合)全体を通じて、ある工程が原因で、出荷までの時間が短くすることができないことがあるとき、その原因をボトルネックと言います。



例えば、以下のような工程があるとします。

 ※棚入れ・・入庫した商品を倉庫の棚に仕舞うこと
 ※ピッキング・・出荷する商品を取り出すこと
 (入庫したものをすぐ出荷するわけではないので、棚入れをします。)

もちろん、実際にはまだいろんな工程がありますし、工程通りに流れるパターンばかりではありません。

もし各工程の一回あたりの処理量が以下の通りだったとします。

 入庫:10個
 検品:5個
 棚入れ:10個
 ピッキング:5個
 出荷:10個


先ほどの工程に10個入庫があると、以下のように進みます。

1.10個入庫して、一度に10個処理して、検品に進みます。
2.次の検品では、一度に5個しか処理できないので、5個検品して、
 5個は検品待ちになります。


もし検品中に新たな入庫があると、入庫した商品が検品工程の在庫になります。

入庫が次々にあると、「検品」工程に在庫がどんどん溜まっていきます。
この場合では、「入庫」の処理量に対し、「検品」の処理量が小さいためにために起こります。
この「検品」工程の一度の処理量が、もし10個以上なら、「検品」に在庫が溜まることはありません。


このとき、「検品」工程がいわゆるボトルネックになってしまっています。

「検品」以降には、検品が完了した5個ずつしか流れていかないわけです。
つまり、全工程の処理量は、「検品」工程の5個を超えることはないのです!



ここでやってはいけないことは、

例えば、「入庫」が手作業が多く大変だから、作業効率を上げようとして、「入庫の自動化をしよう!」などと間違った目標を立ててしまうことです。

だって、「入庫」がいくら早く完了しても、次の工程で作業待ちしてしまうことになってしまうからです。
逆に「検品」に合わせるなら、もっとゆっくりと、間違えないように作業したほうがいいくらいです。


ここで改善すべきは、「検品」工程の処理量を上げることです。
もし効果に見合うシステム化ができるなら、「検品」を自動化して、「入庫」に近い処理量にすることを考えればいいわけです。

但し、上記の処理量を見ればわかりますが、「検品」を見直したら、次は「ピッキング」で同じことが発生します。
そうすると今度は「ピッキング」を見直す必要があります。



と、
実際には、単純に一つの流れで、出荷に至るわけではなく、場合によって、通る工程、通らない工程があったり、もとの工程に戻ったりといろんなパターンがあります。
また対応もシステム化だけでなく、「検品」ラインを増やしたり、ラインを増やすまでしなくても、増員だけで解消するかもしれません。

視点の確認という意味で、「ザ・ゴール」を見直しました。
米で出版されたのが1984年(日本の出版は2001年)ですが、色褪せません。
非常にパワフルな読み物だと思います。

色褪せないと思うのは、まだまだTOC(制約理論)の考え方が身についてない、社会にも浸透していないということなんでしょう。


特に「ザ・ゴール」には、スループット向上(上記でいう、処理量)だけでなく、それを把握するための会計方法の見直し、思考プロセスについても書かれています。

製造業だけでなく、人生のあらゆる課題にアプローチするきっかけをくれる一冊だと思います。


@quindimが、倉庫については、
ザ・クリスタルボール が、倉庫ネタだったよ~と教えてくれたので、こちらも購入。



で、私の倉庫見学自体は非常に楽しく、業務を知る上でも、有意義でした!!

実際の業務を詳細に確認までは当然できませんが、ボトルネックを意識して観察する、
それだけでも、随分参考になりましたし、何より、職場では見れない仕事仲間のことも知れて大満足です。

それを入社早々させてくれた会社にも感謝です。




追加情報です。
最近、TOCの考え方を広げる動きが活発です。

直近だとこんなイベント。

第一回 TOCfEシンポジウム
http://kokucheese.com/event/index/23009/


“教育のための”と銘打ってますが、ビジネス関係の情報共有の場としても使われているコミュニティ。
教育のためのTOC 日本支部 コミュニティ
http://tocforeducation.org/

興味があれば、コミュニティサイトなどから活動の様子を注視しておくといいかと思います。


あと、去年の夏、こんなイベントがありました。
TOCの思考プロセスを人に教えるための4日間のワークです。
今年もやるそうなので、興味がある人は、是非参加することをおススメします!

何にでも活用できる考える力(教育のためのTOC
http://kokucheese.com/event/index/13177/